想いを馳せて
5月21日 - by 髙取由布子
みなさまいかがお過ごしですか。
高取焼の高取由布子です。
先日、ものづくりの素晴らしさを伝える編集者の方が取材にお越しくださいました。
陶芸家としてスタートした時に不安がありませんでしたか。と尋ねられました。
私は陶芸を初めて間もなく女性伝統工芸士展にお声をかけていただきご縁をいただきましたその日から、一生懸命ろくろに打ち込み展示会までの期間に少しでも上達させようと毎日一心不乱でした。
不安を抱える暇もありませんでした。そんな事を思い出しました。
今月地元小石原で行われた陶器祭りの際に6月の茶会で使わせていただきますと、茶碗を求めてくださいました。
ろくろを挽くと焼き上がりまでに2割程度縮みます。高取釉薬を掛けると植物の灰なので無彩色ですが焼き上げると美しい釉調や微妙な濃淡が景色となってあらわれます。
そうして焼き上がった茶碗はお客様の手の中、暮らしの中に溶け込みます。
そんな少し先の未来に思いを馳せながら心を込めて作陶ができるくらいにやっとなれてきたかな、と思う今日この頃でした。