今月の俳句
初雪や水仙の葉のたわむまで 松尾芭蕉
水仙を見ると、お正月を思い出します。
大掃除をして家中を清め、注連縄を飾り、鏡餅を供えて、おせち料理や餅つき、などのさまざまな年用意・・・ でも、なんといっても心弾むのは春着の仕度。 枕元に新調のきものや足袋を揃えたのはもうはるか昔ですが、今でもお正月には襟を正して新年の目標などたててみるのです。
尾張手描友禅の山田瑠璃子さんのめでたさ漲った帯。
これぞ初夢の定番…縁起物で正月らしく、尾張手描友禅の山田瑠璃子さんのめでたさ満開の帯。
茄子はどこか?って・・・お太鼓の端に小さくワンポイント。上手に締めて楽しんでください。
帯をもう一本、鎌倉、本覚寺の縁起物「にぎり福」お守り。愛、健、財、学、福の五つと出会って、あまりの可愛さに帯になさったのだとか!ご利益に守られて、今年もよい年でありますように。
お祝いの席には「宝尽くし利休バッグ」 お宝と松竹梅、華やぐ気持ちでお出掛けください。
尾張友禅 帯地「初夢」「にぎり福」、バッグ「吉祥文」
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小岩井カリナさんの「蒼茫の世界へ」。「蒼茫」とは見渡す限り青々と広いさま。詩情に溢れたコメントが作者の想いを伝えています。
青い地球に住む私たちは、
時にぼんやりとした青の中をさまよい、
時に爽やかな青い風をきって進んでいく。
海の青。空の青。
そのほんのすきまの世界で
色とりどりの青をつかむ。
手織り上田紬「蒼茫の世界へ」
小岩井カリナのつくり手の部屋を見る
お正月の厳粛さを実感するのは、特別な器、とくに漆器が並ぶからかもしれません。
紀州漆器の谷岡公美子さんの国産高野桧の刳り抜きに銅板を仕込んだ香炉はハレの日の主役。
堂々と大ぶりな盃洗は、普段使いにして自家製の干し柿を入れてもおいしそう。椿皿には、ちょっとあらたまった気分で懐紙を敷いて桜餅などいかがでしょう。瑞雲塗の菓子器からのぞくのは揚げたてのかき餅。蓋のつまみまで刳り抜きの一点ものの器から、お行儀よく一個ずつ懐紙に取り分けましょうか。
始めに出会う器が肝心!本当にいいものは子どもたちにこそ使って欲しい。新年という絶好の機会に、丹精込めて生み出された漆器を一緒に使い始めてはいかが?
根来塗 「香炉蓋付」、「盃洗」、「椿皿」、「菓子器丸」
瑞雲塗 「菓子器丸」
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小正月は女正月とも称されて、一日の大正月(男正月)に夜昼なく立ち働いた女性たちの骨休めの日となりました。十四日夕から十五、十六日にかけて祝われ、地方によっては二十日まで含めるところも。
親戚縁者の女たちが打ち解けて集う楽しい時間。せっかくの骨休めですから、いっそのことお正月の残り物で手抜きしてみてはいかがでしょう。
重箱でも松花堂弁当でも箱に詰めると不思議にお惣菜がご馳走に見えてきます。
まずは陶箱のお弁当箱。作者は伊万里・有田焼の梶原真理江さんです。野の花を描いたお弁当の蓋を開けると、だて巻きや栗きんとん、昆布巻き、よもぎ麩などが彩りよく並んで、春の野原のよう。
シリーズ野の花 お弁当箱
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「新しい年を迎えて、心新たにお料理が映える器を思いました。」とメッセージを寄せてくれたのは備前焼の川井明美さん。
「丸のボタの景色に、緋だすきが光り、黒手の桟切りと好対照で引き立て合って美しいです。お刺身、にぎり寿司、果物等を盛っても良し、オードブルを少量ずつ盛り合わせても良しです。」と。
ご馳走が目に浮かびますね。「緋だすきが光る御飯茶碗で食べると心が浮き立ちます。心を結ぶ箸置もご一緒に。」
まさに、器がご馳走!もちろん、使わない時は皿立に立てて飾り皿にしましょう。スタイリッシュに面を取ったデザインの湯呑は持ちやすく、お茶、お水、お酒なんでも美味しくなります。器が水分を吸って、ご飯もお酒も美味しくなる備前焼の特性はご存じでしたよね。
板皿、御飯茶盌+箸置「結」、面取杯
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今年の目標は、塗り物のうつわを臆せず使いこなして、もてなし上手になること。 ハレとケと・・・メリハリつけて、今年も暮らしを楽しめそうな気がしてきました。
構成/和くらし・くらぶ
文/佐々木 千雅子(和くらし・くらぶ)
書・画/伊藤 千恵子(和くらし・くらぶ)
写真/山下 三千夫(マルミミ)